
皮膚疾患
皮膚疾患
皮膚疾患についてプライマリ・ケアにおける対応を行っております。疾患の状態に応じて処置やより専門的な治療が必要であれば皮膚科専門医と連携しながら診療に当たります。主にニキビ、多汗症、湿疹・皮膚炎(かぶれ)、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、単純ヘルペス、帯状疱疹・水痘(水ぼうそう)などの診療を行っております。
ニキビは、角質により毛穴の出口が詰まって皮脂がたまったり(コメドや白ニキビ、黒ニキビと言われる状態)、その内部でアクネ菌が増えて炎症が引き起こされたり(赤ニキビ)、膿がたまったり(黄ニキビ)することでできます。炎症のあるニキビを放置していると、色素沈着やニキビ跡が残ってしまうこともありますので、適切に治療をすることが大事です。思春期に見られることも多いですが、大人になってから見られることも多く、原因としてはホルモンバランスの乱れ、不規則な生活、睡眠不足、紫外線、ストレスなどが複雑に絡み合って、肌の状態が良くなかったり、過剰な皮脂が分泌されることで出来やすくなります。
治療は抗菌薬の塗り薬(ひどければ飲み薬も)、毛穴が詰まりにくくするなどしてニキビができにくくなる効果のある塗り薬を用います。漢方薬を用いる場合もあります。適切な洗顔や化粧水や乳液によるスキンケア、生活習慣の改善も非常に大切です。
多汗症とは必要以上に汗をたくさんかくことで日常生活に影響を及ぼしてしまう状態です。全身から多くの汗をかく全身性多汗症と、手のひらや脇など部分的に多くの汗をかく局所多汗症があり、治療戦略も異なります。まずは原因として、ホルモンのバランスや神経障害、薬の副作用などがないか確認し、明らかな原因が特定されないものを原発性と言い、下記のような多汗症の治療薬を考慮します。
原発性多汗症の治療薬には抗コリン薬という汗を抑える薬があり、全身性では飲み薬を、脇や手のひらの局所では外用薬を用います。また漢方薬では防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は体内の水分バランスを整える作用があり多汗症に有効とされています。
何らかの原因によって皮膚に炎症がおきている状態のことで、非常に多く見られる症状です。盛り上がったブツブツやかゆみのある赤みなどが生じ、掻いたりこすったりしてしまうと、化膿したりかさぶたが生じることもあります。早めに治療することで多くの場合は改善しますが、治療せずに炎症が長引くと色素沈着が起こる場合もあります。
湿疹・皮膚炎がおこる原因は刺激物質やアレルゲンなどの「外的要因」と、健康状態やアレルギー素因などの「内的要因」に分けられますが、両者が複雑に絡み合う場合も少なくありません。外的要因としては、薬剤、化学物質、花粉、ハウスダスト、細菌、真菌、その他アレルゲンなど、内的要因としては、全身状態(内科合併症など)、皮脂分泌状態、発汗状態、アレルギーの有無、アトピー素因などがあり、原因がはっきりしない場合も少なくありません。原因により、接触皮膚炎(刺激物質や特定の物質が皮膚に触れたときにおこる皮膚炎)、汗疹(あせも)、皮脂欠乏性湿疹・皮膚炎、脂漏性湿疹・皮膚炎などの診断がなされる場合もあります。内科疾患(肝疾患、腎疾患、糖尿病、脂質異常症、悪性腫瘍など)が原因となり皮膚に症状が出る場合もあるので(デルマドローム)、必要に応じて血液検査や内視鏡検査で内科合併症を調べる場合もあります。
治療としては、ステロイドや抗菌薬、抗真菌薬などの外用薬を使用します。また抗ヒスタミン薬の内服や、ひどい時は短期間のステロイド内服を行う場合もあります。
アレルギーにより、大小さまざまですが、多くは痒みを伴い、少し盛り上がったみみず腫れのような皮疹が出来る皮膚疾患です。食べ物や内服薬、細菌やウイルス感染などが原因となり得ますが、実際のところその多くは原因が判然とせず、特発性とされています。治療に関しては、主に抗アレルギー薬の内服やステロイドの外用を使用します。多くの人は数日で症状が治まりますが、慢性化して長期に続いたり、ぶり返す場合もあります。その場合には、当面の間は薬を飲み続けて、症状を見ながら徐々に薬を減らしていくことが大切です。
アトピー性皮膚炎は、痒みのある湿疹を特徴とする皮膚疾患であり、良くなったり悪くなったりを繰り返します。皮膚が乾燥しやすい要因やアレルギーを起こしやすい体質を併せもっており、喘息や鼻炎などの合併も珍しくありません。治療は主に保湿剤に加えて、ステロイドの塗り薬や免疫抑制薬の塗り薬によって炎症を抑えていきます。また痒みを抑えるため、飲み薬の抗ヒスタミン薬を用いることがあります。状態が悪い時はさらに強い治療として免疫抑制剤の内服や注射もありますが、このような治療が必要と考えられるときは皮膚科専門医と連携させていただく場合もあります。
単純ヘルペスウイルスに感染することで起こり、小さな水ぶくれが集まってできます。単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、口唇ヘルペスは主に1型、性器ヘルペスは主に2型によって引き起こされます。一度感染すると体の中にウイルスが潜んだ状態となり、病気、疲労やストレスなどにより免疫力が低下した際に、再びウイルスが活性化して再発を繰り返すことが特徴です。治療は抗ウイルス薬や、鎮痛剤、塗り薬など症状を抑える薬を使います。
また水ぶくれができる前に、皮膚に違和感(ムズムズ・ピリピリ・チクチクする感じや、かゆみ・ほてり・痛みなど)がある場合もあり、再発の場合は自分で気付かれることが多く、最近ではそういった予兆を感じた際に、患者さん自らの判断で抗ウイルス薬を服用するPIT療法も可能となりましたので、お気軽にご相談ください。
帯状疱疹も水痘(水ぼうそう)も同じ、水痘・帯状疱疹ウイルスによって発症する病気です。初めて感染したときは水ぼうそうとして全身に水疱を伴う病気として発症し、治った後もウイルスは体内(の神経節)に潜んでいます。加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが再び活動を始めて増殖し、神経を伝って広がり、帯状疱疹を発症します。頭部から下肢までの間で体の左右どちらかの神経に沿って、ひどい痛みやかゆみを伴う赤いぶつぶつや水ぶくれが多数、時に帯状に出現します。皮膚の変化に先立ってピリピリと違和感が生じることもあります。顔面や眼の周囲に生じた際には眼や耳の障害や顔面神経麻痺が起こることもまれにあります。また皮膚症状が治った後も神経の損傷によって痛み(帯状疱疹後神経痛)が残ることがあります。重症化したり後遺症を残すこともあるため、ワクチンによって予防することや、万が一発症した場合は早期に治療することが非常に大切です。治療は抗ウイルス薬や、鎮痛剤や塗り薬など症状を抑える薬を使います。ワクチンについてもお気軽にご相談ください(年齢により補助金もあります)。